このギタボ塾では、ギターボーカルの方の参考になるような情報をお届けしていきたいと思います。ギターボーカルだけでなく楽器を弾きながら歌う人にとって役立つ情報を発信していきますので、ベースボーカルやキーボードボーカルの方などにも参考にしていただければと思います。
ギタボの技術はなかなか言語化し辛い部分も多く、その分出来ない時には悩んでしまう人も多いかと思います。少しでもそんな方々の助けになればと思いなんとか言語化していくので、よろしければ参考にしてください。
初回の今回は、正しいリズムで弾きながら歌うためのコツについてお話しします。
「弾きながら歌う技術」というのは、「ギターを弾く技術」や「歌を歌う技術」とはまた一歩別のものです。ギターも歌も正しいリズムを刻み、一体感や安定感が出るように頑張りましょう!
弾きながら歌うコツ(音程編)はこちらの記事をどうぞ。
■方法A:歌とギターを合体した、一つのフレーズとして捉える
基本イメージ
基本的にはこの方法をお勧めします。後ほど説明する方法Bよりもこちらの方が正確性があり、上達にも繋がります。
イメージとしては、ドラムのフレーズを口で表現する時に
「ドッドッタッドタドタドッタッ」
とか言うのと同じことです。この場合は、「ドッ」という音のフレーズと「タッ」という音のフレーズを合体して捉えているわけですね。ギタボの場合も同様に、ギターの音一つ一つと歌の音一つ一つの関係性を意識することが大事です。
実際には上記の図と違ってタイミングのかぶりがたくさん出てくると思いますが、その場合もズレている部分に注目すると上手く合体したイメージを持てるでしょう。
練習法
では具体的にどう練習するべきかについて話していきます。先にまとめると、①曲をゆっくり再生し、②楽譜に書き出し、③ズレを理解し、④ゆっくり演奏する という手順です。
①曲をゆっくり再生する
まずは曲をゆっくり再生して、ギターとボーカルそれぞれのパートについてどういうフレーズになっているかを聞き取りましょう。
曲をゆっくり再生するためのソフト(アプリ)はこちらの記事を参考にしてください 。
②楽譜に書き出す
次に、先ほど聞き取ったそれぞれのフレーズを縦に並べて楽譜に書き出してみます。この時、楽譜の縦軸がしっかり揃うように気を付けましょう。そうすることで視覚的に理解しやすくなります。細かい補助線や休符も入れるようにしましょう。書き方はお任せしますが、タイミングさえ分かればいいと思います。
③ズレを理解する
楽譜に書き出せたら、ふたつのパートを見比べてそれぞれの音の関係性を理解しましょう。「この言葉はこのピッキングと同時」「この言葉はこのピッキングの半拍後」などを細かく分析することで、合体フレーズにおける正解のタイミングが見えてきます。
④ゆっくり演奏する
そして理解した後は実際に試してみるわけですが、この時も非常にゆっくりとしたテンポで練習し始めることが大事です。初めから早いテンポで合わせると、なんとなく合っているように聞こえても細かいズレが生じていてしっくりこないという事態になりかねません。
初めはなかなか思い通りに体を動かせずもどかしく感じるかもしれませんが、頭で理解さえ出来ていれば辛抱強くゆっくり練習していけば必ずできるようになります!
■方法B:バラバラの二つのフレーズを同時にイメージする
これは少し難しくて説明もしにくいのですが、二つのフレーズを同時に頭でイメージしながら演奏するということです。一見何の解決にもなっていないように思えますが、ギタボに慣れてきたりして条件が整えばこれを出来るようになります。この方法をお勧めするケースが3つあります。
方法Bをお勧めするケース
ケース1:そもそも簡単に弾きながら歌えてしまうようなフレーズの場合
「ジャカジャカジャカジャカ」と一定のリズムで刻みながら普通に歌うくらいなら無意識に出来てしまう人も多いかと思います。その「無意識に両方演奏できる」という場合だと、頭の中で実はこのようにギターのフレーズと歌のフレーズをバラバラに捉えて同時に流すということが行われているかと思います。
まあそんなことが出来る人はこの記事を読んでいないでしょうから、ここで言いたいのは「慣れてきたら方法Bに変えていくと良い」ということです。方法Aは正確に理解することができますが、正直めんどくさいです(笑)。簡単にできる部分では方法B、難しい部分だけ方法Aと使い分けるのが良いでしょう。相当慣れてくれば、ほとんどこちらのイメージで出来るようになってきます!
ケース2:難しすぎて頭では理解できているがどうしても実行できないという場合
方法Aで練習を続けても一向に出来るようにならない場合の最終手段です。頭で考えすぎずにバラバラで捉えたまま演奏した方が、細かいズレはあれどノリはしっかりと出る可能性があります。
ケース3:歌やギターのテンポをわざとズラすなどして表現を加えたい場合
綺麗に一致したテンポではなく、ほんの少しだけどちらかを遅らせることで独特なノリを出すことが可能となります。「溜める」とか「突っ込む」とか言うやつですね。また、歌というよりセリフのようなフレーズでテンポにかっちり当てはまらないこともあります。歌とギターをバラバラに捉えられれば、こういった複雑な表現も自由にできるようになります。
練習法
具体的な考え方についてですが、一言で言うと自分の中で一定のテンポを刻むということが大事になります。完全に二つのフレーズをバラバラで捉えてしまうともちろん演奏もバラバラになってしまうため、「テンポ」というどちらのフレーズにも共通するものによって二つを繋ぐ必要があります。一定のテンポに合わせてギターを弾き、同じテンポに合わせて歌を歌えば、おのずとギターと歌も合ってくるというわけですね。
ではその一定のテンポを自分の中でどう刻めばいいのかということになるのですが、方法としては以下の二つがおススメです。
①体を動かしてテンポを取る
特におススメするのは、右手の空振りを多用してストローク速度を一定にすることです。下の図のように音を鳴らすタイミングに関わらず常に一定のテンポで右手を動かし続けていれば、それに合わせて歌うことでおのずとギターと歌のテンポが一致するわけです。
他にも、体を揺らしたり、足を踏んだり、首を振ったりしてテンポを取っても良いですが、動かすべき部位が増えるとむしろ混乱してしまう人が多いかと思います。
②片方のフレーズを(ほぼ)無意識に演奏する
歌とギターのうちリズムが一定に近い方のフレーズを割と無意識に演奏し、不規則な方のフレーズに集中するというのもコツのひとつです。どちらか一方をテンポに合わせて無意識に演奏することが出来れば、一つのパートを演奏するのと変わりませんよね(極論)。まあ無意識というのは流石に無理があるように思いますが、要するに頭で考えることをなるべく減らすために、いっぱい練習してテンポさえ感じれば体が勝手に動くようにしようということです。
非常に難しいように聞こえますが、よく歌った歌などで「歌いながら歌詞がスラスラ出てくる」といった経験はありませんか?それも「歌詞を思い出す」という作業を無意識にやっているということです。ギターでも同じように、コードチェンジやバッキングに慣れればあまり頭で考えずに行えるようになります。理想はどちらも体が勝手に動いて演奏できるぐらい慣れることですが、どちらか片方だけでもあまり意識せず演奏出来るようになれば相当やりやすくなります。
まとめ
最後に、ここまでお話した方法のイメージを図にまとめてみました。
伝えたいことは、「捉え方によって、ひとつのパートを演奏する場合と同じイメージで演奏できる」ということです。ひとつのパートを演奏するとはつまり、「テンポに合わせてひとつの楽器を演奏する」ということですが、なるべくこれと同じイメージのまま複数の楽器を演奏できるように考えてみましょうということです。
イメージの話ですので、よくよく考えると結局一緒じゃねーか!という部分もあります。皆さんのやりやすいイメージに合わせて練習してください。そして図が雑ですみません(笑)。
ギタボ塾初回にして、最も難しい内容となってしまいましたね(笑)。
ふたつの方法に分けて解説をしてきましたが、実際私が演奏する際はどちらの考え方も併せて活用しているように思います。頭の中のイメージの話なのでなかなか説明し辛い部分もありますが、初心者の方はまずは方法Aから始め、慣れてきたら方法Bを織り交ぜながら練習していけば、正確かつスピーディーにコピーできるようになっていくでしょう
余裕を持って演奏できるように練習し、カッコいいライブをしてやりましょう!