耳コピのやり方について解説していく【耳コピ塾】。第3回の今回は、ルート音編です。
さて、準備もできたところでいよいよ実際に音を聞き取っていきましょう。コードを探す時にまず初めに見つけるべき音が、「ルート音」です。比較的分かりやすい音ではありますが、だからこそこれを間違えてしまうとバンド全体での調和が取れなくなってしまいます。
慣れれば曲を流しながらでも分かるくらい簡単ですので、しっかり押さえておきましょう!
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■ルート音とは
ルート音とは、簡単に言うと「コードの土台となる音」です。例えば、C、Cm、C7、Cadd9、Csus4のように「Cなんとか」という名前のコードは、全て「C=ド」の音が土台となっています。そこに色々な音を足すことでニュアンスの違いが生まれているわけですね。この土台となる一音のことをルート音と呼びます。
ルート音について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。⇒
曲中のあるフレーズをバンドで演奏する際、弾いている音に違いはあっても、基本的にどの楽器も同じコードに沿った音を鳴らしています。ベースはGコードに沿った音を弾いているのにギターはCを弾いているなんてことは、まずないと思ってください。コードにはいろんな種類があり、Cコードのルート音だけGに変えたConG(オンコードと言います)といったものもあるため分かり辛いことがありますが、細かく見て行けばやはりどの楽器も同じコードに沿って演奏しています。コードが共通しているということは、ルート音も共通しているということですね。音を聞いていきなり「これはCadd9だ!!」と分かるには経験が必要ですので、まずはルート音が何かを探るところから始めていきましょう。
■ルート音を探す方法
それでは、どうすればそのルート音を見つけ出すことが出来るのかについて、4つの方法・考え方をご紹介していきます。
①ベースを聞いてみる
前述したように、同じフレーズではどの楽器も同じコードに沿っています。つまり、耳コピの際には自分のパートだけでなく他の楽器の音も非常に参考になるわけですね。その中でも特に意識してほしいのが、ベースです。理由は、ベースがルート音を弾いている可能性が非常に高いからです(というか基本的に弾いていると思ってくれて大丈夫です。次の②も続けて読んでみてください)。
ただ、ベースはギターより低い音を鳴らしていますので、ベースがCを鳴らしていたらギターではもう1オクターブ上のCを鳴らすことになりますね。1オクターブと言いましたが、もう一つ高い場合もあります。要するに「C」であることが重要だということですね。
また、ベースはバンドの中で一番低い音を鳴らしているため聞き取りやすいというのも、ベースに注目すべき理由のひとつです。
【耳コピ塾】②準備をしよう で紹介したwpak32を使っている場合は、「R」ボタンを押すとベースが強調されるかと思います。慣れてくれば、「L-R」ボタンを押してバッキングギターの最低音を聞き取ることもできます。ただこのとき注意してほしいのは、バッキングギターの最低音とルート音が一致しない場合があるということです。これはコードが違うというわけではなく、バッキングギターにおいてルート音を省略しているというケースです。押さえにくい形のコードの時などは、もうルート音はベースに任せちゃえ!となるわけですね。もちろん頑張ってルート音を押さえてもらっても響きとしては問題ありません。省略している場合もあるということを頭の片隅に入れておくと、楽な押さえ方に気づきやすくなります。
②小説の頭以外は無視
ベースを聞く、に関する続きです。先ほどベースはルート音を弾いていると言いましたが、もちろんそれ以外の音だって弾きます(ルート弾き、という本当にルート音しか弾かない曲もありますが)。特に早いテンポでどんどんベースラインが動くような曲は、いったいどれがルート音なんだ!となってしまいます。そんな時は、コードが切り替わった直後(小節の頭であることが多いです)の音のみに着目しましょう。
新しいコードに移った最初の1音は、そのフレーズを印象付ける大事な音ですので、ルート音を鳴らす場合が非常に多いです。また、そのコードチェンジは曲の流れを形作っていくものなので、小節の頭などキリの良いタイミングで切り替わることが多いです。耳コピをする際には、まずある程度のまとまったフレーズ内で、小節の頭のベース音を聴き取ってみることから始めるのが良いでしょう。
③聞きながら弾いてみる
ベース音は低い音ですので、他の楽器に埋もれることなく聞き取りやすいという利点はありますが、一方で細かい音の違いを認識し辛いという欠点もあります。耳コピのやり方として、まずは 聞く⇒弾く⇒聞く⇒弾く といったやり方で音を確かめるかと思いますが、このやり方だと「C」を聞いているのに「C#」を鳴らして同じ音に聞こえてしまう場合があったりします。ですので、音の候補が定まったら曲を流しながらそれに合わせて弾いてみましょう。そうすると、違う音を鳴らしている時は違和感を感じると思います。音感に自信のない方はそんなの分からない、と思われるかもしれません。そんな時は、近くの音を片っ端から鳴らしてみて一番近いと感じる音を探し当てましょう。弾いている音が聞いている音より高いか低いかの判断を根気強く続けていけば、最後には正解にたどり着けます!
④「違うかも」と疑ってみる
よし、ルート音は完璧に聞き取った!というそこのアナタ。ちょっとだけ待ってください。先ほど言ったことと重複する部分もありますが、ベース音は思わず聞き間違えてしまうということが起こりやすいです。ですので、「間違えているのではないか」という気持ちで確認してみることが大事です。
特に間違えやすいのが、「倍音」です。とても簡単に説明すると、「同じ音ではないが調和して聞こえる音」です。響きが調和しているため、倍音を弾くとしっくりくる感じを持ってしまいます。ただ、「違うかも」と疑ってしっかり考え直せば、よりぴったり一致する音が見つかるはずです。これもやはり、曲を流しながら一連のフレーズを弾いてみると気づきやすいですよ!
倍音について詳しくはこちら⇒
倍音とは何か?初心者にもわかるように簡単に解説します。 - 月の中の雲
ルート音を見つけるのは耳コピにおいて大事な部分ですので、長々と解説してきました。が、慣れてしまえばいたって簡単です。ルート音だけなら、最終的には曲を普通に流しながらそのままコピーできてしまうくらいになります。
そして、ルート音のコピーが出来ればもう耳コピは半分終わったと言っても過言ではありません。もちろん細かいニュアンスなどを表現していくためにはもう半分が重要となってくるのですが、逆にざっくり耳コピであれば、ある程度コードの知識があればこの時点で出来てしまいます。じゃあそのざっくり耳コピはどうやればいいのかというのを、次の回でお伝えしたいと思います。