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【ギタボ塾】その8:ギタボの音作り

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ギターボーカルの方向けに役立つ情報をお届けする、ギタボ塾シリーズ。今回はギタボの音作りについて解説していきたいと思います。

 

音作りは良い演奏を目指す上で非常に重要な要素ですが、個人的にリードギターよりギタボのバッキングギターの方が音作りが難しいように感じています。主張しすぎない範囲内で曲に厚みや変化を与えるための微妙な調整というのは、いつまでたってもゴールが見えない道のりです。プロの音源を聞いて学びたくても、音源のバッキングギターは聴こえづらかったりしますよね。少しでもそんな迷える皆さんの助けになればと思い、着眼点や考え方を中心にお伝えしていきたいと思います。

 

大前提として、音作りに正解はありません!

曲によってどうするべきかは全く変わってきますし、自分の好みに合わせて自由に作ればいいと思います。ただ、聴いている側にとって不快に感じる「不正解」は存在します。好みの域を逸脱した「不正解」になってしまわないように、また自分の求める音にたどり着くためにどうすれば良いかを解説していきます。

 

その他ギタボ塾の記事についてはこちらからどうぞ。

ギタボ塾 カテゴリーの記事一覧 - 社宅ROCK!

 

 

 

 

 

 

■音域について

 

最も重要で最も難しいのが、音域の設定です。ハイ・ミドル・ローの音量バランスをどうするかによって、同じ音でも聞こえ方は全く異なります。

特にバッキングギターに関して言えば、他の楽器が鳴らしている音域の隙間を埋めて全体の厚みを増すことが大きな役割のひとつかと思います。設定する際の考え方としては、「他の楽器と音域がかぶらないかどうか」です。いくら音量を上げても、他の楽器と音域がかぶっていると埋もれてしまって聞こえづらくなってしまいます。

参考までに、下の図は王道邦ロックによくある音域構成のざっくりイメージです。繰り返しになりますが、曲やボーカルの声質によってこれらの関係性(特にリードとバッキング)は変わるものだと考えて下さい。

 

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音域の参考イメージ

ごらんの通りバッキングギターは音域広めにまんべんなく鳴らすイメージですが、その中でもリードやボーカルを聞こえやすくするためにミドルを下げて音を後ろに引っ込める(主張を薄くする)のがよくあるパターンかと思います。また、最近の邦ロックではシンセがよく使われているので、中域はシンセで厚みを持たせてバッキングギターは高域でチャカチャカ鳴らしているというパターンもよくありますね。

 

ただ、音域をかぶらないようにすると、今度は異常にキンキンしたり、こもった音になってしまう場合があります。高音に寄る際の上限としては、アンプの目の前で聴いたときに耳が痛くないかどうかがボーダーラインかと思います。耳に刺さってきて眉をひそめたくなるような音は避けましょうということですね。逆に低音に寄る際は、ある程度ベースに任せてしまうという考えも重要です。

つまり高音 / 低音に寄るというのは、「高音を上げる / 低音を上げる」だけでなく「低音を削る / 高音を削る」という作業もとても大事だということですね。また、高音・低音が強く中音域を大きく削った状態を「ドンシャリ」と呼びますが、もう少しまろやかにしたいときはある程度ミドルも出す必要があります。

 

そして目指すべきゴールは何かというと、自分のギター単体で弾いて良い音であることではなく、バンドサウンド全体でみたときに良い音であることです。単体で聴いて物足りない音に思えても、他の楽器が出せていない音域をしっかりカバーできていれば全体で鳴らしたときも音がくっきりと浮かび上がってきます。逆に単体で聴いたら心地よい音でも、他の楽器とかぶりがあると全体で聴いたときにごちゃついて聴こえてしまいます。

 

他の楽器ときちんと音域の住み分けをしたうえで、サウンドに厚みや良い表情を与えられる音域を探しましょう!

 

 

 

エフェクターについて

 

出したい音を作るためにエフェクターを使うわけですが、ギタボにとって便利なエフェクターの使い方をいくつかご紹介していきます。

 

・歪み系

まずはオーバードライブやディストーションといった歪み系についてですが、基本的に歪みを強くすると音がつぶれて、はっきりしなくなるというイメージがあるかと思います。この考えは間違っていないのですが、逆に歪みが弱すぎても音の輪郭(ジャキジャキ感)が弱くなってしまって音がこもってしまう可能性があります。特にギターボーカルは、リードギターを後ろから支えるイメージを持っているために、主張しすぎないように歪みを抑えるという意識が働きがちです。リードギターを目立たせるのは音域のすみ分けと音量調節で行うようにして、歪みは抑えすぎないほうがバンドサウンドに溶け込むでしょう。

 

・ブースター

曲の勢いを大きく左右するのが、ドラムとバッキングギターの音量です。特にサビの音量はBメロより少し大きくすると盛り上がりが出てくる場合が多いです。クリーンブースターやイコライザーで音量(や音域)のみ変化させるのもいいですし、オーバードライブを踏んで少し歪みを強くしてもいいですね。バッキングギターの音量や歪みの量は、細かい違いが曲の雰囲気に影響するので繊細に設定をしましょう。

 

・ショートディレイ

音に軽く広がり(残響感)をもたせるために、アンプやエフェクターでリバーブをかけている方も多いかと思います。もちろんそれも良いのですが、何かしっくりこないなーと感じる際には、ディレイタイムを短くしたショートディレイをかけてみるとまた違った広がり方に聴こえます。個人的には、リバーブでは音がぼやけすぎてしまうけど何もないと物足りないと感じるとき(広がりが欲しいというよりも伸びが欲しいとき)にショートディレイをかけています。特にアルペジオのときなんかは活躍してくれますよ。リバーブかけっぱなしだとごちゃごちゃしてしまうけどショートディレイを上手くかければすっきり厚みを増せるというわけですね。どういう設定にしてかけるかにもよって響き方は変わってきますので、色々と試してみて下さい。参考までにショートディレイの使用例を載せておきます。

 


Number Girl - TATTOOあり (Live from FUJI ROCK FESTIVAL 2001)

 

 

■弾き方について

 

弾き方によっても、「音作り」が可能です。ピッキングの強弱、スピード、方向、範囲などによって、同じセッティングでも鳴る音は変わってきます。右手の調節だけで、音量、歪みの量、疾走感などを変化させることができるというわけですね。弾き方のバリエーションや効果的な使い方について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

 

 

 

■機材について

 

単純なバッキングや単純な音の方が、機材の質がモロに出てきます。イコライザーエフェクターをいくら調節しても良い音にならない!と限界を感じたら、ギターやアンプの購入を検討してみるべきかもしれません。私自身、最初に購入した安物のギターで音作りに随分苦労しましたが、別のギターに変えたとたん一気に改善されてもっと早く変えればよかったと後悔しました。特にクリーンに近い音を多用する方は機材の質による影響も大きいと思いますので、音作りに行き詰まったら他の人のギターを借りてみたり店で試奏してみたりして原因を探ってみましょう。

 

 

 

ギターボーカルのバッキングギターでの音作りは、単純だからこそ非常に奥が深いです!最初のうちは、何が良い音か、自分がどういう音を目指しているのかも分からず悩む方がほとんどでしょう。そんなときはやはり「バンド全体の中で気持ちよく音が浮かび上がってくるかどうか」を意識してみてください。

繰り返しになりますが、音作りに正解はありません。膨大なパターンのセッティングを試してみて、自分が気持ちよく演奏できる音を探しましょう!