耳コピのやり方について解説していく【耳コピ塾】。第二回の今回は準備編です。
耳コピをするにあたって、まずはやりやすい環境を用意しましょう。普通に曲を流しても聞き取れないかもしれませんが、工夫をすることで聞き取りやすくすることができたりします。また、「耳コピ」と言いながら、実は目で映像を見るというのも非常に有効だったりします。
遠回りをしなくて済むように、事前にいくつかのチェックポイントを確認した上で耳コピに臨みましょう!
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■ソフト(アプリ)の準備
私は、音を聞き取りやすくするためにソフトを使っています。ソフトは絶対に必要というわけではありませんが、使うと耳コピのやりやすさが全然違います。リードギターならまだしも、ギターボーカルが弾くバッキング等は音源のままだととても聞き取りにくいです。以下のソフトを使えば、スピードを落として聞けたり特定の音を聞きやすい状態にできるため、非常に耳コピしやすくなります。ここに記載のあるソフトはすべて無料で使えるフリーソフトですのでご安心ください!
ただ、基本的に「音源のファイル」を持っていることが前提となります。つまりCD・音源を買ったりレンタルしたりしてパソコンに取り込んだものですね。apple musicやspotifyといったストリーミングサービスでは「音源のファイル」を得られませんので注意しましょう。どうしても音源を買いたくない場合は便利なソフトが使えませんが、それでも耳コピは可能です。
・聞々ハヤえもん
こちらは楽器演奏者にとって有名なプレイヤーです。いくつか機能がありますが、特筆すべきはやはり、速度と音程を調節できるという点です。
再生速度を細かく指定できるので、最適なスピードに落として聞き取りやすくすることができます。また、音程調整も細かく出来るため、キーを変更してコピーしたいという時にも頭の中で変換するのではなく聞いたままでコピーすることが可能となります。
耳コピだけでなく、練習用にもとっても便利なソフトです。スマホ用アプリもあります。
・wpak32
【ダウンロード先:WPAK32 紹介】
私が長年愛用している、最高の耳コピソフトです。周波数を限定するフィルタなどをかけることで、聴きたい音を際立たせることが出来ます。細かく設定することも可能ですが、ギターボーカルの人におすすめしたいのはなんといっても「L-R」ボタン。これを押せば、バッキングギターの音が魔法のように浮き出て聞こえてきます!(場合によってはそうでない時もありますが)もちろん、ベース、リードギター、コーラスを際立たせるのにも役立ちます。また、再生位置を細かく設定して、EnterキーやSpaceキーで簡単に一時停止・繰り返し再生ができるのも魅力的です。耳コピには不可欠なソフトといっていいでしょう!
※「.wav」の音楽ファイルが必要です。詳しくは次の説明で。
・Any Audio Converter
こちらは、ファイルの拡張子を変換するソフトです。一口に「音楽ファイル」といっても、様々な種類があります。よくあるのは「.mp3」「.mp4」「.wma」ファイルとかですね。上記のwpak32を利用するためには、拡張子を「.wav」というWAVEファイルに変換する必要があります。このソフトを使えば、変換後の保存先を指定してポチッとクリックするだけですぐに変換してくれるのでお手軽です。多くの拡張子入出力に対応しているため、他にも様々な場面で使えるソフトです。
・Tux guitar
せっかく耳コピしても、忘れてしまったら意味がない!ということで、フレーズごとにすぐメモするようにしましょう。このソフトでは、ギターのフレットをクリックすればtab譜にしてくれるので、視覚的な操作で簡単にメモすることができます。メモを見返す時も、tab譜の数字だけでなくどのフレットを押さえるかが視覚的に分かるので分かりやすいです。私は細かいタイミングやアルペジオなどは無視して、左手でどう押さえるかのみをフレーズごとに簡単にメモしています。ちなみに、ネット上で同じファイル形式のtab譜が配布されている場合は読み込み&再生も可能です。
■動画の準備
冒頭でも少し触れましたが、耳コピにおいて、動画を目で見てコピーするというのも非常に役立ちます。いわゆる目コピというやつですね。一番望ましいのはアーティスト本人のライブ映像ですが、なければ弾いてみた動画を参考にするとよいでしょう。ただ、弾いてみた動画はコピーが正確でない場合があります。そもそも正確なコピーが目的ではなくアレンジを含めている可能性がありますしね。アーティスト本人の映像でも、ライブver.のフレーズを弾いている場合があるので、あくまで動画は参考程度と考えましょう。主なチェックポイントは以下の通りです。
①大体のフレット位置
これが分かるだけでも、耳コピが非常にスムーズになります。バレーコードなのかどうかも参考になりますね。
②カポの有無
カポを使っているかどうか、何フレットに使っているのかというのは、ぜひ動画で最初にチェックしておくべきポイントです。耳で聴きとっていく中でカポの存在や位置を模索するのは上級テクニックなので。
③パート分け
そもそも自分がどのフレーズを担当すればいいのかをチェックしましょう。バンドメンバーと分担ができていれば問題はないですが、基本的には本人と同じパート分けということが多いと思います。リードギターが弾くと思ってたフレーズを実はギタボが弾いていた、なんてことはよくあります。
④使用エフェクター
動画によってはエフェクターも見えることがあります。どんなエフェクターを使うか参考にしましょう。ただし、ライブ全体の中では使うが該当曲では使っていないというケースもあるため要注意。
■ギターの設定
耳コピを始める前に、ギターのセッティングをしましょう。チェックポイントは、チューニングとカポの2点です。ここを間違えた状態で耳コピを進めようとするととても苦しむことになるので、可能なかぎり確認をしておきましょう。
ちなみにこの二つは、本人と違っていてもコピー自体はできます。ただ本人のセッティングが一番弾きやすいという場合が多いので、基本的には同じセッティングを目指しましょう。
・チューニング
やはり一番多いのはレギュラーチューニング(低音弦から、EADGBE)ですね。次に多いのが、全て半音ずつ下げるというチューニングでしょうか。ハードコアなどでは、ドロップDというチューニングも多いですね。他にもチューニングの種類はいろいろありますが、厄介なのはアーティスト独自のチューニングをしている場合です。こういった場合は、まず頑張って調べてみましょう。変則チューニングの場合はネットに情報がある可能性が高いので、「"曲名" チューニング」とかで調べれば出て来てくれるはずです。ちなみに、私が以前コピーしたAmerican Footballというバンドは曲ごとに違う変則チューニングをしていて、EBCGBEとかEAC#BBEとかでした(笑)。ネットで調べても人によって言っていることが違ったり、本人の手の動きとどうしても合わなかったりで苦労しました。そういった場合の対処法は後述します。
【代表的なチューニング⇒【ザ・低音】主なドロップチューニング・ローダウンチューニング一覧 – ナルガッキ】
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・カポタスト
キーを上げる役割をしてくれるカポタスト(通称、カポ)を使うときがあります。カポを使うかどうか見抜く一番の方法は、上述のように動画を使った「目コピ」です。ただ注意するべき点は、アーティストによっては音源とライブでキーを変えている場合もあります。また、弾いてみた動画では歌いやすいように自分に合わせたキーにしている人もいます。原曲と聞き比べた上で判断しましょう。
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つまりまとめると、「調べる」ということですね。調べて出てこなかった場合はもう自分で正解を見つけ出すしかないのですが、これが非常に難しい。
基本的な考え方としては、以下のふたつが大切です。
①曲の中で最も低い音が何か
ギターの音の中で最も低い音は6弦の開放弦です。この音が曲中の最低音と一致するケースが多いです。少なくともこの音より低い音が曲中で使われていたら、確実にチューニングを変える必要がありますね。
②よく出てくる高音はないか
チューニングやカポは、弾きやすくするためのセッティングです。つまり、よく出てくる音を簡単に鳴らしたいという主旨なわけです。ですから、よく出てくる音(経験上、高音である1,2弦が多いです)を開放弦に合わせると正解のセッティングにたどり着きやすいです。
ただ、大前提として自分が弾きやすければ何でもいいので、分からない場合は正解(本人のセッティング)に固執しすぎず自由に弾いてしまいましょう。
厳密には、同じ音でもどの弦を鳴らすかによって響きが変わってきたりしますが、分からないという場合は気にしなくていいです。
たくさん耳コピをしていくうちに、段々慣れてきてスムーズにできるようになってきます!
ここまでで準備は終了です。長々と書いてきましたが、実際にやる作業量としては大したことありません(ソフトのダウンロードさえ済んでいれば)。
この準備を怠ると後々苦労する可能性もあるので、しっかりとしておきましょう。
では、次回からいよいよ実際に音を聞き取っていきましょう!