耳コピのやり方について解説していく【耳コピ塾】。最後となる今回は、バンド人数の都合上ライブで音源通りの再現が難しい場合の対処法についてお話します。
CDなどの音源というのは楽器ごとに録音した音を重ねて製作することが出来るため、スリーピースのバンドなのにギターが2本も3本も鳴っている!なんてことはよくあります。こういう曲をライブでコピーする際、メンバーを増やすという手もありますが、やはり本人らと同じバンド構成でやりたい!という時にどう演奏したらいいかということを、ギターに着目してお伝えしていきます。
スリーピースなのにギターが複数使われているJ-ROCKの例としては、syrup16g、サンボマスター、SAKANAMON、ハヌマーンなどがあげられます。
その他耳コピ塾の記事はこちらからどうぞ。
①曲全体の雰囲気を見てどちらかを選ぶ
まず最も単純な選択肢として、弾くパートを一つ選んで他は諦めてしまいましょう。どちらのフレーズを重視するかについては、全体の雰囲気をみて決める必要があります。
基本的には、コードと単音フレーズの二つがある場合、曲の土台となるコードを弾いておけば大きく雰囲気が損なわれることはありません。ただ、その曲のメインフレーズなど特徴的なものに関してはやっぱり鳴らさないと物足りないですよね。そういう時には、曲を支える役割をある程度ベースやドラムに任せてしまってもいいでしょう。ベースの音を音域広めに設定するだとか、キメをドラムの勢いのみで表現するだとかいうことですね。
まあ特に正解があるわけではないので、バンドメンバーで話し合って弾くフレーズを決めましょう。
②フレーズを融合する
どちらのフレーズも諦めたくない!という欲張りな方は、ふたつのフレーズを合体させて弾いてしまいましょう。コードを押さえながら一音だけ単音フレーズに合わせて変化させていくだとか、別々の単音フレーズをギター2本でハモっているものをギター1本で同時に弾いてしまうなどが可能かと思います。そもそもがギター2本のフレーズであるためなかなか同時に押さえられない場合もあるかと思いますが、欲しい!と感じる音を中心にうまいこと取り入れられればスリーピースでも物足りなさを感じさせず演奏することが出来るでしょう。
③音作りでカバーする
ギターの音作りを工夫することで物足りなさをカバーするという方法もあります。【耳コピ塾】⑦エフェクターを知ろう で紹介したピッチシフター等を使って鳴る音を増やすだとか、音域を広めに設定することでスカスカ感をなくすなどの手が有効です。ベースなど他の楽器にも手伝ってもらうとなお良いでしょう。
また、原曲では全く使用されていないようなエフェクター(フェイザー、フランジャー、コーラス、ワウなど)を使うことで、雰囲気は変わるが物足りなさを消すという方法も有効かと思います。
④ルーパーを使う
ルーパーというエフェクターを使えば、一度弾いたフレーズをその場で記録して何度も繰り返し再生することができます。ACIDMANとかエド・シーランなどがよく使う手法ですね。
複数の音を鳴らすために段階的に演奏して音を増やしていく必要がありますし、基本的に同じフレーズを繰り返す場合にしか使えないですが、これらの条件をクリアできるのであれば自由度は最も高いと言えるでしょう。ただ、繰り返したいフレーズをミスしてしまうとぐちゃぐちゃになってしまうため練習は必須です。
参考までにACIDMANがルーパーを使用しているシーンを載せておきます。4:30からのくそかっこいい雰囲気はルーパーなしでは実現できません!
ACIDMAN - to live(2012.4.14 さいたまスーパーアリーナ)
⑤同期を使う
あらかじめ録音したり打ち込んだりしておいた音源を流すという方法です。個人的には最終手段みたいに思っていますが、まあ人数や楽器が足りなければ致し方ないこと。これによりライブでの表現の幅もぐっと広がります。
ただ、いろいろとセッティングが必要だったり、流す音源とタイミングがずれないようにドラムがずっとイヤホンでテンポを聞く必要があったりと、結構慣れていないと難しい面も多いです。詳しくはこちらのサイトをご覧ください。
いかがでしたでしょうか。今回お話した内容に限らず、音源とライブで演奏が異なるというケースはよくあります。そんなときは、自由な発想で自分のやりたいように演奏してしまいましょう。
重要なのは、曲の中で伝えたい部分(ノリ、フレーズ、音圧、見た目などなど)がしっかり伝えられるかどうかです。バンドメンバーでしっかり話し合い、自分たちだけのコピーを作り上げていきましょう!